外資系企業が日本で初めて取り組んだ障がい者雇用─完全な手探りから、スモールスタートで見えてきた糸口

株式会社Trip.com International Travel Japan
人事部 部長 成様
人事部 人事担当 武藤様
| 利用目的 | 日本で初めて障がい者雇用に取り組むにあたり、進め方や体制のイメージを持てていなかった。社内だけで完結させるのは難しいと感じる中で、外部のサポートも含めながら、現実的に進められる方法を模索していた。 |
| 課題 | 日本法人として障がい者雇用の実績がなく、どの部署でどのような業務を任せられるのか判断できない状態。受け入れ側も未経験で、対応や配慮の線引きが分からず、不安を抱えていた。 |
| 利用効果 | 検討を重ねる中で、まずは1名から始める形が現実的だと判断し、スモールスタートで雇用を開始。週次レポートを通じて状況を把握しながら進められたことで、未経験でも無理なく取り組める体制が整いつつある。 |
完全な手探りから始まった、日本での障がい者雇用
(成様)
当社は、グローバルに旅行サービスを展開するTrip.com Groupの日本法人として、2014年に設立されました。航空券や宿泊施設の予約をはじめとする幅広い旅行関連サービスを提供しています。日本においては、コールセンター、営業、マーケティング、バックオフィスなどの各部門を中心に、約350名の社員が業務に従事しています。
障がい者雇用を検討し始めたきっかけは、正直なところ法定雇用率に関する指導でした。ただ、日本法人としてはそれまで障がい者雇用の実績がなく、何から着手すべきか分からない、手探りの状態からのスタートでした。加えて、制度や運用の理解も十分ではなく、「実際に雇用し、業務に従事していただく」ためにどのような体制を整えるべきか、社内にノウハウがない状況でした。
試しにバックオフィス業務で募集を行ったこともありましたが、応募にはつながらず、「このまま自社だけで進めるのは難しいのではないか」という不安も感じていました。
業務も体制も見えない中で踏み出した、1名からのスモールスタート

(武藤様)
最初は業務のイメージがまったく湧いていませんでした。日本拠点として障がい者雇用が初めてだったので、「どんな業務をお願いできるのか」「どの部署で受け入れるのか」「社内で本当に対応できるのか」と、分からないことだらけだったんです。
(成様)
当社にはサービスごとの営業、コールセンター、バックオフィスなど多くの部署がありますが、実際に障がいのある方にとって現実的なのはどこなのか、判断がつきませんでした。コールセンターについては人材の募集をしていましたが、夜勤も含むシフト制が前提になる業務のため、一般社員でもなかなか定着につながらないケースがあります。障がいのある方にとっては、なおさら負担が大きいのではないか、という懸念がありました。
また、社内からは「誰が責任を持つのか」「何かあったときにどう対応するのか」といった不安の声もありました。障がい者雇用自体が初めてだったため、受け入れ側としても経験がなく、どこまで任せていいのか、どこまで配慮すべきなのか、その線引きが分からなかったというのが実情です。
そうした中で、農園型をはじめ、いくつかの外部サービスも視察・比較しました。ただ、いきなり複数名での受け入れが前提だったり、距離があって業務を任せきりになる印象があったりと、初めて取り組む立場からすると、ハードルが高いと感じる部分もありました。「まずは小さく始めたい」という私たちの状況には、少し合わないように思えたんです。
(武藤様)
その点で、パレットさんのサービスは選択肢として現実的でした。最大のポイントは、1名単位での採用が可能だったことです。何と言っても初めての障がい者雇用でしたので、いきなり人数を増やすのではなく、まずは1名からスモールスタートできるという点に、大きな安心感がありました。
また、直接雇用という形で会社のメンバーとして迎え入れられることも重要でした。外部に任せきりにするのではなく、自社の社員として関わりながら仕事をお願いできる。そのうえで、採用後も専門的なサポートを受けられる体制があるという点は、ノウハウがない状態だった私たちにとって、非常に心強いものでした。
採用後に見えてきた、関わり方と業務の広がり
(武藤様)
今回採用したのは新卒の方でした。最初は「きちんと仕事を進められるだろうか」「こちらの関わり方はこれで合っているのか」といった不安もありました。ただ、実際にやり取りを始めてみると、コミュニケーションの取り方そのものを、本人に合う形にすればいいということが分かってきたんです。
本人はチャットでのやり取りが得意で、そのほうが落ち着いてコミュニケーションできる様子でした。なので、無理に顔を合わせることはせず、基本的にはチャットを中心にやり取りしています。そうしたやり方がフィットしたのか、少しずつですが、仕事も一人で進められるようになってきたという実感があります。
(成様)
私自身も、面接の時はかなり緊張していました。障がいのある方とちゃんと意思疎通ができるのか、不安が先に立っていたと思います。ただ、実際に話してみると、普通にコミュニケーションが取れることに気づきました。そのときに、「これは自分の中にあった思い込みだったな」と感じたんです。障がいがあるかどうかよりも、その人がどういう考え方をするのか、どういう人なのかという点のほうが、ずっと重要なんだということを、関わる中で自然と理解するようになりました。
(武藤様)
業務については、最初から具体的な仕事を任せていたわけではありません。まずは基本的な研修からスタートしました。そのうえで、徐々に簡単な事務作業や経費申請の対応など、実際の業務にもチャレンジしてもらっています。やってみてもらうことで、「ここは得意だな」「この作業は少し時間がかかるな」といったことが見えてきました。こちらも任せ方を調整できますし、本人としても「できること」が少しずつ増えている感覚があるように見えます。
最初は、何かあれば私が間に入ってやり取りしていましたが、最近では自分から関係部署に質問をしたり、確認を進めたりと、自分で仕事を完結させようとする姿勢も出てきました。新卒ではありますが、社会人として一歩ずつ成長しているのを感じますね。
新卒であることもあって、障がいの有無に関係なく、「社会人として必要なこと」はしっかり伝えるようにしています。たとえば、メールの確認の仕方や有給の取り方など、どの職場でも必要な基本的なことです。
一方で、伝え方は相手に合わせて工夫するようになりました。これは障がい者雇用を通じて、私たち自身が学んだことでもあります。配慮しすぎるのでもなく、特別扱いでもなく、一人の社員として向き合いながら成長を見守る。今は、その距離感が少しずつつかめてきたと感じています。
Canvasの支援が支えた、安心して進められる環境づくり
(武藤様)
Canvasのサポートの中でも、特に助かっているのが週次のレポートです。業務の様子だけでなく、体調面についても共有してもらえるので、「今はこういう状態なんだな」と把握しやすくなっています。遠隔で働いていると、どうしても見えない部分が出てきますが、レポートを通じて、バイオリズムの変化や、ちょっとした違和感にも気づけるのはありがたいですね。こちらから声をかけるタイミングを考えるうえでも、貴重な判断材料になっています。
(成様)
状況を共有しながら確認できる相手がいるというのは、担当者として大きな安心感がありました。「こういう点を見ておくといいですよ」といった視点をもらえることで、自分たちだけでは気づけなかった部分にも目が向くようになりました。進め方について迷ったときも、一度立ち止まって相談できる場所があることで、極端に慎重になりすぎずにいられたと思います。

(武藤様)
週次で情報が整理されていることで、「今はこの業務量でよさそうだな」「少し任せ方を変えてみようかな」と考えやすくなりました。状況が見えている状態なので、必要以上に一人で抱え込むこともなく、落ち着いて対応できています。
自分たちだけですべてをなんとかするには限界があるので、分からないところを外部のサポートに頼りながら進めていく。その上で、今後は少しずつ、社内としてどう受け止め、どう体制を整えていくかを考えていく段階だと感じています。
“とりあえずやってみる”その先で見えてくるもの
(成様)
現時点では、まずは実績を積み上げていくことを大事にしています。障がい者雇用については、やってみて初めて分かることが多いですし、まだまだ会社として整えきれていない部分もあります。今後は、社員数の増加に合わせて、どう受け入れ体制をつくっていくのかを考えていく必要がありますね。
一方で、進め方についてはシンプルでいいと思っています。率直な考えですが、“できることは自分たちでやって、できないことはプロに任せる”それで十分だと思います。最初からすべてを完璧に整えようとすると、どうしても動けなくなってしまうので、まずは一歩ずつ進めていくことが大事だと感じています。
(武藤様)
私も同じで、とにかく「とりあえずやってみてください」とお伝えしたいですね。障がい者雇用という言葉を聞くと、不安ばかりを感じてしまう企業さんも多いと思いますが、実際に動き出してみると、見えてくることがたくさんあります。
やってみることで、「ここはできる」「ここは難しい」という判断もできるようになりますし、会社としてやるべきことも少しずつ整理されていきます。最初から答えを出そうとせず、一歩踏み出してみる。その積み重ねが、結果的に無理のない形につながっていくのではないでしょうか。
企業情報
| 社名 | 株式会社Trip.com International Travel Japan |
| 事業内容 | オンライン旅行サービス事業 |
| URL | https://jp.trip.com/pages/about-us/ |